巻頭言1996

医学教育の原点1996年)

 

19941995年版の三緑会同門会誌(第2号)が発刊される運びとなった。今後も2年に1号のペースで刊行が予定されているので、普段から思いつくことを書き綴って頂きその都度医局宛へ寄稿して頂ければと思う。創刊号の巻頭言で、同門会誌に寄せる期待として、忌憚のない意見が沢山盛り込まれた自己点検、批判の内容も歓迎したい旨を記した。期待通り本号では素晴らしい意見も掲載されている。また近況報告や入局者の自己紹介の項にも色々と楽しい文章が並んでおり文才豊かな同門会員が多いなあと感心している。開業された同門会員の方々からも、若い同門会員のために一般医療情勢を先輩として教えてあげて欲しいし、随想や趣味の話も気分が和むので、寄稿を是非お願いしたい。

1995年1月17日の兵庫県南部地震は色々な面で私達に大きなインパクトを与えた。本号に深瀬正晃先生と中條聖子先生の追悼文が載っている。悲しみが思い起こされるが両先生の無念を晴らすため両先生の分まで頑張ろう。震災後、医学部の学生が少し変わったように見える。現在、学部5回生の学生に臨床講義をしているが、いつも8割ぐらいの学生が受講するようになっている。震災前は5~6割であった。今年より医学専門教育が始まった2回生から現在ポリクリ中の6回生までの5学年は、震災後ボランティアとして医療現場で活躍してくれた学生である。震災の経験は、彼らをどのように変えたのだろうか?医学教育に携わる者として深く考えさせられる。

 新しい教育システムの6年一貫教育カリキュラムが始まって既に4年が経過し、平成10年(1998年)4月からその一環として学部6回生の学外実習教育が関連病院の協力の下に始まることが計画されている。医師免許取得前にプライマリ・ケアを含めた実地診療の現場を経験させることがその目的とされているが、実体がどのようになるのか、実際行ってみないことには分からない。しかし、震災後学内外の正にプライマリ・ケアの医療現場でボランティア活動をしていた学生の目の輝きは忘れることができない。学外実習を学部学生の何回生にどのような形で経験させるかは、彼らに将来医師として働くことの自覚をしっかりと持たせる上で大きなインパクトになりうる可能性があるのではないかと期待している。同門会の先生方にも多大な御協力をお願いすることになるがよろしく御支援を頂きたい。

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