巻頭言2001

開講30周年、医学部改組・部局化2001年)

 

 今年は神戸大学医学部内科学第三講座が発足した昭和46年9月1日から数えて30年目に当たり、また医学部の改組、部局化によって名称も神戸大学大学院医学系研究科応用分子医学講座内分泌代謝・神経・血液腫瘍内科に変わった節目の年である。三緑会会長の高橋桂一先生をはじめ同門の先輩達と相談して三緑会主催の開講三十周年記念講演会および祝賀会を開催することになった。平成1310月6日の当日は、日頃の皆さんの品行が良かったのか幸い晴天にも恵まれ、全国から多数の同門の方々が参集された。かつて第三内科の研究室335があった研究棟の跡地に新設された神緑会館で開かれた講演会では、まず初代教授で現在、総合科学技術会議議員として日本の21世紀の科学全体の舵取りをされている井村裕夫先生が「生命科学-この果てしなきフロンティア」という演題で講演をされた。いつもながらの全てが網羅された素晴らしい内容で、猛烈なスピードで進歩してきた科学の過去の評価と反省に基づき、これから解決されなければならない諸問題や展望について、若い医学徒に激励と示唆を与えて下さった。次いで第2代教授の藤田拓男先生が、ライフワークとして取り組まれているカルシウム骨代謝研究の集大成を「カルシウムパラドックス」という演題でお話しになった。今なお自ら現役として学会活動を継続されている藤田先生のライフワークにかける情熱とその迫力に同門一同圧倒された。講演会の後、場所を楠公会館に移して記念祝賀会が開かれ、吉本祥生先生の司会進行で、普段お会いする機会の少ない懐かしい先生達のスピーチを数多く聴くことができ、和気藹々の雰囲気の内に滞りなく会を盛会裡に終えることができた。尚、この企画と施行に関しては現医局長の苅田典生先生が中心になって、大学にいる教室員とともに時間と労力を注いでくれた。感謝するとともにその労をねぎらいたい。

 さて、上述のように大学院への部局化により、内科学第三講座という名前は無くなり応用分子医学講座内分泌代謝・神経・血液腫瘍内科という長ったらしい名称になったが、その理由は研究、教育において内科学9領域(循環器、呼吸器、消化器、腎臓、糖尿病代謝、内分泌代謝、神経、血液腫瘍、免疫)のうち内分泌代謝、神経、血液腫瘍の3領域の責任者に私が選ばれたことに依る。病院の診療科はまだ第三内科のままだが、現在臓器機能別診療体制の整備中であり、近いうちに第三内科の名称は無くなり、大学病院では内分泌代謝内科、神経内科、血液腫瘍内科の領域の責任を旧第三内科の医師が受け持つ予定である。この一連の動きは、全国の大学で大学や大学病院の在り方が検討されるなかで起こってきていることであり、大学と関連病院の関係も今後新しい展開を期待し、また模索しながら変革を進めていく必要がある。関連病院の同門の方々は、人材の確保等で色々と不安に感じられると思うが、この状況を是非理解して頂きたいし、また人材確保に私自身もできるだけ協力したいと思う。専門分化が進むなかで臓器機能別診療体制の確立は必然だが、一方で、内科医が本来の役割、すなわち患者の体をトータルとして把握できて疾病の診断、治療へのオリエンテーションをつける役割を見失い、体の一部だけしか診ることができない所謂専門馬鹿的な内科医が増えるのではないかと懸念している。教室員には、各内科領域の専門医である前に自分は内科医であることを忘れないようにと、機会あるごとにしゃべっている今日この頃である。

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