巻頭言2004

国立大学法人2004年)

 

 平成16年4月より神戸大学も国立大学から大学法人になった。中期目標を掲げ、それらに向けて中期計画を立て、その達成度や内容の評価に基づいて国からの運営交付金支給額も決まると言われている。すべての領域で競争原理を導入する流れに拍車がかかってきた。平成16年度から医師の卒後臨床研修制度も大きく変わった。研修医と受け入れ病院とがそれぞれ希望順位を登録し組み合わせを決めるマッチングシステムが導入された結果、初年度は、初期研修先として市中臨床研修病院を選ぶ者が導入前と比べて倍増したが、つい先日発表された2年目の結果では、マッチング参加者のうち47.3%が市中臨床研修病院のプログラムとマッチし(前年度41.2)昨年よりも一層大学病院離れが進んでいる。そのなかで少しずつ将来に向けての傾向も出てきている。明らかなのは大学病院と市中病院の関係が、縦の関係から横のつながりに変わろうとしていることだ。初期研修は地域の市中病院に任せ、その後の専門医研修や大学院への入学という実利に目を向け始めた大学病院も増えてくると思う。国立大学医学部附属病院長会議常置委員会(H1412月)が報告した現在の大学医学部附属病院に期待されている役割は、1)地域の中核病院として専門性を有した質の高い医療の提供、2)将来の医療を担う医療従事者の育成、3)臨床医学発展の推進と、医療技術水準の向上への貢献、の三つである。大学病院に勤務している立場から私見を述べると、研究のことは別にして、大学病院の機能として重要なものは、臨床医になるための初歩的教育、臨床の現場で必要な基本的な知識と基礎的技術に関する教育、特定の臨床技術を学習することができる社会に開かれた修練センター機能、先端医療の実践と開発を目指す高度でかつ先進的医療センター機能等であろうと考えている。前の二つは医学生が対象だが、残りの二つは大学病院の勤務医だけでなく市中病院やクリニックで働いている医師の生涯教育にも係わる内容も含まれると思う。平成16年9月に文部科学省から「地域医療等社会的ニーズに対応した医療人教育支援プログラム」に総額21億円の予算が計上され、2030件を採択する予定であるとの通知が届いている。未来に向けて、市中病院と大学病院がお互いの役割を理解し分担することにより医師を育成していく構図が見えてきているように思う。

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