巻頭言2008


医療年金問題や不安定な政局に加え、米国発の金融危機に続く、世界同時不況の嵐の中で、先行き不透明な社会情勢となってまいりました。そんな中でも、昨年、4人の日本人関係者がノーベル賞を授与されたことは明るいニュースでありました。

さて、前回の総会にて、三緑会の存続の是非について率直な意見交換があり、最終的に本会を存続させることに決定しました。当会は同門会として、基本的には従来どおり運営されることになります。会員の出身母体であります内分泌代謝・神経・血液腫瘍内科は横断的な診療科の再編に伴い現在、糖尿病・内分泌内科(清野教授)、神経内科(苅田准教授)、血液内科(松井准教授)、リウマチ科(塩沢教授)に独立し、会員はそれぞれの分野でご活躍中です。 

昨年は、三緑会会長として、千原教授の退官事業が諸事情のため、挙行できなかったことが心残りです。会員諸氏からこの件に関して、厳しいご指摘をいただいておりますので、皆様のご協力をいただき、是非、退官記念事業を実現するつもりです。

最近、糖尿病領域の大規模研究(UKPDSpost trial-)にて興味ある発表がありました。"2型糖尿病患者の過去10年間の厳格に血糖コントロールがなされた群は、そうでない群に比べ試験終了10年後、両者のHbA1cが同程度でも、心血管イベントの頻度は前者に有意に低い。しかし、血圧に関しては過去の厳重コントロールよりも現在のコントロール状態が重要である。"という内容です。これは遺産効果(legacy effect)と呼ばれています。すなわち血糖に関しては過去が重要な意味を持つということになります。この成績を知り学ぶところがありました。これを自分自身に置き換えてみると、第三内科という多くの優れた指導者や仲間に育てていただき、その後もその遺産効果におんぶされ生きてきた毎日ではなかったかと。これからは"遺産効果"に感謝しながらも、日々自己研鑽に励み、不確実で変化に富む時代を逞しく、生きてゆかねばならないと考えています。

最後になりますが、井村、藤田、千原教授から引き継がれ、神戸大学に根付いた"知の伝統"の炎は聖火の炎のごとく、決して消してはなりません。この炎は、新たなリーダーに受け継がれ、これからも赤々と燃え続けるように皆様とともに、見守りたいものです。


平成21年1月 門脇誠三

リンクページ